豆知識

異物を飲み込みそうになっているのを目撃したら
 
飲み込んだら困るようなものを咥えているのをみかけたら、急いでとりあげようとせずに、まずは飼い主さんがリラックスしてください。取り上げようとしていることを悟られると、取られまいとして、あわてて飲み込んでしまいます。次に、大好きなおやつや、オモチャなど、いま咥えているものよりもはるかに魅力的なものを用意し、注意をひきます。このとき、飼主さんは動物の口元から目を離さないようにしましょう。回収に失敗した場合、目を離したスキに飲み込んだのか、どこかに落としたのかわからなくなってしまうからです。
注意をひくことに成功したら、おやつやオモチャを使って手元におびきよせ、咥えている異物をゆっくりと取り上げます。
飲水量のチェック
 
水を沢山飲んでおしっこが沢山出る。多飲多尿と呼ばれる症状で、腎臓病や糖尿病など、命にかかわる病気の危険サインとなることがあります。見落とさないように、普段から、「健康な時のいつもの飲水量」をだいたい把握しておきましょう。いつもと違うと感じたら、動物病院にご相談いただくわけですが、ここで動物の飲水量のチェックの仕方をご紹介しておきます。
ふだんより多いかな?と感じられたとき、なるべくいっしょにいられる日程を見計らって、24時間の飲水量を計量します。まず、前の晩に水をとりあげておきます。翌朝いちばんの給水の際に、決まった量の水を水入れに入れ、その後、飲み切る直前ごとに同じ量を追加していき、その夜は日中の飲水ペースから予想して、飲み残しが出るくらい多めに用意してあげて、24時間たった翌朝の時点で飲み残した量を計量します。器に入れた水の総量を足し算して、24時間で飲んだ量を割り出します。これを数日実施して、平均値を出すとより正確な値となります。
資料により様々な表記がありますが、たまたま手元にあった教科書によると、正常な飲水量の上限は体重1kgあたり、犬で90ml 猫で45ml を超えない事と言われています。つまり体重10kgの犬が24時間で1リットルの水を飲んだら、「病的に沢山飲んでいる可能性がある」と疑う必要があります。ただし、そのときの気候や餌に含まれる水分量・塩分量によって、飲水量が影響を受けることがありますので、計測していた24時間の間に何をどのくらい食べたか、どのような気候だったか記録しておくと良いでしょう。
野鳥の雛・カラス・ドバトの保護に関する考え方
Q
A 動物病院によくある問い合わせに、各種野鳥の雛・カラス・ドバトを保護したけれど東京都が対応してくれないのでどうしたらいいのか?というものがあります。
結論から言うと、これらを保護した方の希望にかなう合法的な解決策は東京都には存在しません。それでも、なんとかしたいという方のために、以下にヒントを列記しますので、参考にしてください。
まずは、法律の解説から。上記の鳥たちは、法律上、すべて「野生鳥獣」というくくりになり、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律という法律によって規制されます。
この法律により、野生鳥獣を手中に置いている状態は、理由・状況のいかんを問わず、法律上「捕獲」とみなされます。緊急避難としての保護も、法律上は捕獲となります。
そして、理由のいかんを問わず、野生鳥獣の捕獲は原則禁止されています。野生鳥獣を手中に収めることができるのは、①狩猟という手段をとった場合か、②許可をとった場合に限られます。

① 狩猟とは法で定められた猟法(法定猟具)に対応した免許をもった人が、猟期(11月15日~2月15日)において、自身がもっている免許で許可される方法で、狩猟してよい場所で、狩猟鳥獣に指定された種類のみを、決められた数だけ捕獲して良い。というものです。ちなみに、上記以外に、素手による捕獲や鷹狩などによる自由猟法とういものもあり、免許は必要ありませんが、それ以外の条件は免許の必要な狩猟といっしょです。
② 許可による捕獲とは、動物園が展示用の動物を補充する目的で捕獲する時や、研究機関などが調査や採材のために捕獲する時に申請するものです。そのほか有害鳥獣駆除申請が受理された場合の捕殺も許可による捕獲に含まれます。許可による捕獲は、狩猟と違って、種類の限定はありません。ただし、怪我をした野生鳥獣が治療の甲斐なく野生復帰できなかったので生涯飼育してあげたいという事情に対しての許可は降りません。ネット上で、許可を得て飼っているという事例が散見されますが、これはたまたま対応した行政担当者が「お願いします」と口頭で言ってしまったか、一時飼養依頼という契約が一時的に結ばれたということに過ぎず、個人が個体を継続的に所有するための正式な許可は存在しません。治療を目的とした緊急避難的保護についてはお咎めなしという間違った解釈が一般化しつつありますが、東京都の救護事例では、東京都が一括して捕獲許可申請を行っているのであって、都を通さずに個人で長期間保護していることは違法飼養と同じとみなされます。

以上のことを念頭におきつつ、それぞれの場面について解説します。
まず、各種野鳥の雛の保護。前提として、巣立ち雛の誘拐事例を防止するために、東京都は雛の保護を認めていません。親に戻す努力をするか、もといた場所に放置するという指示が出されるだけです。(親に返すためのテクニックについては別途、機会をもうけて解説します)多くの保護者が、この指示に反感を覚えるようです。中には、放置したら100%死んでしまう事情を抱えた雛も存在します。しかし、雛の保護事例のほとんどが誘拐であることを鑑みて、東京都では、それでもいいから戻して来てくださいという原則をつらぬいています。これはある程度、妥当な判断だといえます。都職員も人の子ですから、断腸の思いを、事務的な語調に隠してそのように伝えていると理解すべきかと思います。
例外として、傷病鳥獣には治療と野生復帰を目的とした救いの手が差し伸べられますので、保護した雛について、雛であるという情報よりも、弱っているとか怪我をしているという情報を前面に出して強くアッピールするという方法もあります。まるっきり無傷で元気だとこの方法は無理ですが。
また、巣立ち雛の季節は、猟期ではありませんので、狩猟鳥獣に該当する種類であっても自由狩猟による捕獲という抜け道は適用されません。
可愛い野鳥の雛を保護した場合、そのルックスに魅了され、自分の手で育て、飼育したいという衝動に駆られる方もいらっしゃると思われますが、多くの場合、技術的な面で無理があり、実際に、飼育≒虐待飼育というケースも散見されますので、悲惨なことになった個体を沢山診察してきた経験上、私はお勧めしません。野鳥なので、生きていさえすれば幸せという概念も適応しづらい面があります。なにより、どう転んでも非合法な行為となりますので、優しい心や善意からはじまったことが、後に警察による摘発・個体の没収・書類送検という悲惨な結果になることもあります。東京都ではこのあたりの対応が非常にシビアです。他県では盛んなリハビリテーター制度といった、「団体の主催する研修をうけた一般市民が野生鳥獣の飼育管理を自宅で行う」といったことも、東京都では推奨していません。なるべく親にもどす努力をするか、怪我です!ということで東京都の救護受け入れのラインに乗せるのがよろしいかと思います。親にもどすタイムリミットは一両日。東京都の救護にゆだねるタイムリミットは3日ほどと考えて、早めの決断をお勧めします。
次にカラスです。東京都では、事業としてカラスの駆除を行っています。努力の甲斐あって、かつてあれほど酷かったカラスによるゴミ被害が激減しました。種を絶滅させたわけではありませんので、行政によるワイルドライフマネジメントの成功例として高く評価できると思います。しかし、一方で、このことがカラスを拾ってしまった人を困惑させています。
怪我や病気、親からはぐれた雛のいかんを問わず、カラスは東京都の救護対象外となります。税金で駆除している害鳥を税金で救護することに整合性が得られないからです。
幸い(幸いと言えるのかどうかは別ですが・・)、カラスは狩猟鳥獣に該当します。狩猟の条件がととのった状態でカラスを保護したのであれば、そのカラスをどのように扱おうと、それは個人の自由でお咎めなし。ということになりますので、保護したときの状態を脳内でよく整理しておいたらよいでしょう。お咎めなしの条件としては保護した日が11月15日~2月15日の間で、保護した場所が自宅の敷地内で、道具をつかわずに素手で捕獲したという事実が必要です。大きな声で鳴き、大量の糞をし、広い空間での十分な運動が必要なカラスを、健康で幸せな状態を保ちつつ生涯飼育することの大変さや、旅行に行きたくてもカラスを預かってくれるところが見つからないといった負担も含めて、あとはすべて自己責任です。東京都の救護対象ではないので、東京都指定の野鳥救護病院への紹介も行われませんし、任意の病院での治療に際しては、治療費の自己負担が前提となります。
最後に、最もやっかいなドバトについて。ドバトもカラスと同様に、東京都では救護の対象外となります。カラスのように予算を投じて駆除をしているわけではありませんが、ドバトも個体数が増えすぎて、都民に対する様々な生活被害をもたらしていますので、保護の対象とはしないそうです。たしかに、助けたドバトが群に戻って誰かのマンションのベランダを汚してしまったり、駅のホームで利用客の頭に糞を落とすことを考えれば、税金を使って治療を行い、野生復帰させることには私も抵抗があります。よって、東京都に通報しても、対象外として対応されなかった保護者は、自力で動物病院にドバトを運ぶことになり、カラスと同様に自己責任・自己負担での治療となります。問題は、怪我の程度がひどくて、野生復帰できない場合です。ドバトはカラスと違って狩猟鳥獣ではないため、個人で飼育することができないのです。ドバトは、レースバト(伝書鳩)への誤射を防止する目的で狩猟鳥獣から外されているため、自動的に、捕獲してはいけない鳥のカテゴリーに位置づけられているのです。非狩猟鳥は個人の飼育目的での捕獲許可は降りませんので、ドバトの飼育は非合法となります。ドバトが保護鳥というのもおかしな話ですが、厳密に分析するとそういう解釈となります。事実関係を理解し飲み込んだ上で、今後の対応への参考としてください。
ヒントを一つ。私は実際に、ドバトを飼育している人が違法飼育として摘発されたという話を聞いたことがありません。ドバトは飼育してはいけないという概念が意外すぎて普及していないのが原因かと思います。ドバトは野鳥ではないと思っている方も多いのではないでしょうか。このように、ドバトの飼育は、出るところに出ればアウトですが、ほとんどの場合、出ろと言われないのが現状です。では、出るところに出ろ!と言われてしまうのはどのような時かというと、鳴き声や匂いでご近所に迷惑をおかけしたときに、苦情という形で事態が表面化するのだと思います。