2016.04.09
●足が地に着かない●

本日もお立ち寄りありがとうございます。
足が地に着かない = 考え方や行動が浮ついて、しっかりしていない事 ≒ ブームに乗っかりやすい人
今、ブームになっている動物といえば猫ですが、猫の話はまた別の機会にして、今日はフクロウの話をしたいと思います。
ハリーポッターをきっかけとして、日本でのフクロウ飼育数は、尋常じゃないくらい増加しています。
ハリーポッターが終息したあとは、各種動物販売イベントや、フクロウカフェがブームの牽引を引き継ぎ、「本来ならばフクロウなんぞ飼わないような層の人」とフクロウとの出会いを演出してしまい、飼育を始めようという人が後を絶ちません。
特定の種類の動物の飼育がブームになると、若干いいこともあるけれど 沢山の悪いことがあります。
いい事と言えば、その種類の動物を飼育するために必要なインフラ・・・すなわち餌とか道具とかが手に入りやすくなったり、研究が進んで質が向上したりする事です。あとは、いままで偏見の目を向けられて、不当に嫌われていた生き物に対する理解が深まり、社会全体が少しだけお利口になること。
悪い事といえば、数え上げたらキリがありませんが、ワースト上位から解説しましょう。
まず何と言ってもマズイのが衝動買いによる「個体の持て余し」。これは最終的に虐待飼育や遺棄につながります。種類によっては、そのまえに死亡しますので、流通個体の大量死ということになります。
その次が、乱繁殖による、不健康な個体の流通。鳥類で言えば、産まされ過ぎて疲れ果てたた親鳥から生まれた雛が、虚弱過ぎてまともに育たない例が痛々しいです。
鳥類というのは、孵化からわずか数カ月で親と同じサイズまで一気に成長しますので、虚弱な雛だと歪が顕著に表面化します。骨の強度が成長に追い付かず、体重を支えきれずに次々と骨折していくという地獄のような症例を経験したことがあります。最後は安楽死でした。ちょっとしたトラウマになっています。
最後に、飼育インフラの質の低下。これは、先述の、インフラの安定と矛盾しますが、ひとたび「儲かる」となると、専門外の人間まで市場に参入してくるため、まるで見当違いな餌やら道具やらが出回ったり、価格競争が起きる結果、まともな商品が生き残れなくなってしまうという現象です。この志の低さはペット産業ではものすごく顕著です。
写真は、足が地についていないフクロウの図。
わかります? 爪が伸びすぎて、ドクター中松のジャンピング・シューズ、スーパーピョンピョンのようになってしまっています。
このフクロウ、地面に足底がつけられないので、絶えず、指立て伏せのような加重が指先にかかっています。
爪を切ってやったあとも、しばらくは指がいたくて、歩き方がぎこちなかったです。
嘴は、伸びすぎて餌を咥えられない状態。いままでどうやって餌を食べていたのか謎です。
警察から当院に持ち込まれたときは、低体温と肝不全で倒れていて、意識不明。起き上がれない状態でした。おそらく、不適切な栄養管理だったと思います。ネズミをあげるのは気持ち悪いからササミを食わそうといった類の飼い主だったのかもしれません。
珍しい種類のフクロウなので、翌日には飼い主が現れるであろうと、フクロウならぬタカをくくっておりましたが、警察の遺失物扱いの満期となる3カ月が過ぎても、ついに飼い主は現れませんでした。絶えず、ネットで確認をとっていましたが、探している人もいない様子。大事なペットが逃げたら、普通は必至に探しますよね・・・。
現在は、遺失物法に基づく手続きも終わり、私の所有物となっていますが、今も継続治療中です。 餌代、光熱費、治療費、全部、私持ちのボランティアです。
動物の飼育ブームは嫌いです。
それを後押しする各種動物イベントも同様。
めずらしいペットを飼おう! なんて、とんでもないキャッチコピーのイベントが毎年、東京で盛り上がってますし、ネットを調べると、まぁ販売されているフクロウの個体数の多いこと。これがどんどん売られていくのか?という異常事態です。 この流れはもはや止められそうにありません。
ただ・・・フクロウなんて、いきなり素人が飼うもんじゃありませんからね。私の知る限り、フクロウがちゃんと飼えてる人たちって、かなりマニアックで、動物飼育のなんたるかの基礎の部分をマスター済みで、フクロウの勉強もしていて、体重管理などもできる、とっても几帳面な人たちです。そんな人たちを見て、飼育無間地獄の沼に首まで浸かって暮らしているこの私ですら、「自分はフクロウ飼えないなぁ・・・」と思いとどまるくらいなんですから。
でも このフクロウ・・・現在 ちょっとだけ幸せそう。
次回は、猫ブームを考察します。
以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。
足が地に着かない = 考え方や行動が浮ついて、しっかりしていない事 ≒ ブームに乗っかりやすい人
今、ブームになっている動物といえば猫ですが、猫の話はまた別の機会にして、今日はフクロウの話をしたいと思います。
ハリーポッターをきっかけとして、日本でのフクロウ飼育数は、尋常じゃないくらい増加しています。
ハリーポッターが終息したあとは、各種動物販売イベントや、フクロウカフェがブームの牽引を引き継ぎ、「本来ならばフクロウなんぞ飼わないような層の人」とフクロウとの出会いを演出してしまい、飼育を始めようという人が後を絶ちません。
特定の種類の動物の飼育がブームになると、若干いいこともあるけれど 沢山の悪いことがあります。
いい事と言えば、その種類の動物を飼育するために必要なインフラ・・・すなわち餌とか道具とかが手に入りやすくなったり、研究が進んで質が向上したりする事です。あとは、いままで偏見の目を向けられて、不当に嫌われていた生き物に対する理解が深まり、社会全体が少しだけお利口になること。
悪い事といえば、数え上げたらキリがありませんが、ワースト上位から解説しましょう。
まず何と言ってもマズイのが衝動買いによる「個体の持て余し」。これは最終的に虐待飼育や遺棄につながります。種類によっては、そのまえに死亡しますので、流通個体の大量死ということになります。
その次が、乱繁殖による、不健康な個体の流通。鳥類で言えば、産まされ過ぎて疲れ果てたた親鳥から生まれた雛が、虚弱過ぎてまともに育たない例が痛々しいです。
鳥類というのは、孵化からわずか数カ月で親と同じサイズまで一気に成長しますので、虚弱な雛だと歪が顕著に表面化します。骨の強度が成長に追い付かず、体重を支えきれずに次々と骨折していくという地獄のような症例を経験したことがあります。最後は安楽死でした。ちょっとしたトラウマになっています。
最後に、飼育インフラの質の低下。これは、先述の、インフラの安定と矛盾しますが、ひとたび「儲かる」となると、専門外の人間まで市場に参入してくるため、まるで見当違いな餌やら道具やらが出回ったり、価格競争が起きる結果、まともな商品が生き残れなくなってしまうという現象です。この志の低さはペット産業ではものすごく顕著です。
写真は、足が地についていないフクロウの図。
わかります? 爪が伸びすぎて、ドクター中松のジャンピング・シューズ、スーパーピョンピョンのようになってしまっています。
このフクロウ、地面に足底がつけられないので、絶えず、指立て伏せのような加重が指先にかかっています。
爪を切ってやったあとも、しばらくは指がいたくて、歩き方がぎこちなかったです。
嘴は、伸びすぎて餌を咥えられない状態。いままでどうやって餌を食べていたのか謎です。
警察から当院に持ち込まれたときは、低体温と肝不全で倒れていて、意識不明。起き上がれない状態でした。おそらく、不適切な栄養管理だったと思います。ネズミをあげるのは気持ち悪いからササミを食わそうといった類の飼い主だったのかもしれません。
珍しい種類のフクロウなので、翌日には飼い主が現れるであろうと、フクロウならぬタカをくくっておりましたが、警察の遺失物扱いの満期となる3カ月が過ぎても、ついに飼い主は現れませんでした。絶えず、ネットで確認をとっていましたが、探している人もいない様子。大事なペットが逃げたら、普通は必至に探しますよね・・・。
現在は、遺失物法に基づく手続きも終わり、私の所有物となっていますが、今も継続治療中です。 餌代、光熱費、治療費、全部、私持ちのボランティアです。
動物の飼育ブームは嫌いです。
それを後押しする各種動物イベントも同様。
めずらしいペットを飼おう! なんて、とんでもないキャッチコピーのイベントが毎年、東京で盛り上がってますし、ネットを調べると、まぁ販売されているフクロウの個体数の多いこと。これがどんどん売られていくのか?という異常事態です。 この流れはもはや止められそうにありません。
ただ・・・フクロウなんて、いきなり素人が飼うもんじゃありませんからね。私の知る限り、フクロウがちゃんと飼えてる人たちって、かなりマニアックで、動物飼育のなんたるかの基礎の部分をマスター済みで、フクロウの勉強もしていて、体重管理などもできる、とっても几帳面な人たちです。そんな人たちを見て、飼育無間地獄の沼に首まで浸かって暮らしているこの私ですら、「自分はフクロウ飼えないなぁ・・・」と思いとどまるくらいなんですから。
でも このフクロウ・・・現在 ちょっとだけ幸せそう。
次回は、猫ブームを考察します。
以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。