2016.01.09

●猫を借りる●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

 お正月気分もすっかり抜け(御用納め君と同様、うちには、お正月気分君も不在ですが)、出勤の道々、J-WAVEを聞いていると、「借りてきた猫」というフレーズが話題になっていました。
 ナビゲーターいわく、「借りて来た猫のようだって言うけど、それって実際、どんな状態なんだろう。そもそも猫って貸し借りするもんじゃないからわからない」とのこと。
 
 どんな状態って・・・このことわざを知らんのか?

 そんなに特殊な表現じゃないですよね??

 ことわざの意味どおりにとれば、借りて来た猫のようにおとなしい ってことになります。
 普段はやんちゃな人が、人が変わったようにおとなしくしている状態を指すわけで、普段からおとなしい人の場合には使わない表現です。
 
 逆の使い方で類似の言葉に、豹変ってのもあります。自らの過ちを潔く認めて、間違った前言をサッと撤回するのが君子である という事で、良い方向へガラリと変わるという意味の言葉です。なぜか今では逆の使い方をされてますが・・・・。ガラリと変わる系のたとえが、どっちもネコ科なのが面白いです。

 で。 猫は貸し借りするものなのか?という話。

 そもそも、ネズミ退治のために猫を借りて来たはいいけれど、大人しくてぜんぜんネズミを退治してくれないじゃないか!という出来事があったから、「借りて来た猫」のことわざが生まれたわけですから、猫は貸し借りするものだ!と言っていいでしょう。

 最近ではレンタルペットという商売もあり、文字通り猫やら犬やらを有料で貸してくれる店があります。借りたあと平然と返せる人はいいですけど、すっかり情が移っちゃった人はどうするんだろうって心配になる商売です。

 借りるわけではありませんが、私も猫をお預かりすることが多い職業なので、預かった猫についてはいろんな経験がありますが、院内の猫が必ずしもおとなしいとは限りません。飼い主さんの元ではおとなしかったのに、入院と同時に猛獣と化し、スタッフ一同 流血の惨事になったり、写真のサクラちゃんのように、家でも病院でもゴロにゃんな子もいます。

 じゃぁ「逃げてきた猫」はどうなのか・・・11月30日に自宅を出て以来、飼い主さんの必死の捜索にもかかわらず行方不明だった「風太」が、今日 保護されて無事に飼い主さんのもとにもどったそうです。逃げている間によせられた目撃談では 余裕でくつろいでいた らしく、家に帰ったあともケロっとしており、感動の再会でかけよってくるわけでもなく、かといって野生にもどってしまったわけでもなく。至って平常心だったそうです。風太君を繁殖したおっさんが、三鷹の高田純二と私が呼んでいる、きわめてテキトーなおっさんなので、風太くんも実はものすごくテキト-な性格なのかもしれません。

 なにしろ風太君。無事でなにより。
 心配してくださった皆様に 御礼申し上げます。
 
    以上。三鷹・吉祥寺のペットドクターいのかしら公園動物病院の石橋でした。