2015.10.01
●飼育者Xの献身●

大蛇ネタの続きでございます。
昨日の写真の個体。もとを正せば飼育放棄個体であります。「大きくならないから大丈夫!法律にも触れないし」という売り口上に乗せられて購入したところ、あれよあれよという間にこのサイズに育ってしまい、「怖いし 場所ないし、えさ代かかるし」で もう飼えない!ってことになった人がおられまして、今回登場した飼い主さんが引き取ることになったのだそうです。実はこのヘビ、ペットとして大ブレーク中の小さなニシキヘビ、ボールパイソンと、正真正銘の大蛇であるビルマニシキヘビのハイブリッド(雑種)です。
売り口上では、ボールパイソンくらいの大きさで、ビルマニシキヘビの奇麗な模様が出て、ちょっとだけ迫力もある・・・・ということなんだそうで、売ったほうもそういう生き物であると信じて売ったようです。
ボールパイソンというのは、検索していただけるとわかりますが、飼育下でせいぜい1m前後のニシキヘビで、だいぶ家畜化されてきたこともあり、おおむね性質も穏和で、生き物の飼育に熟達した人ならば一般家庭でも飼育可能な種類です。一方、ビルマニシキヘビは先に紹介したように特定危険動物に指定された世界4大大蛇の一角を占める巨大生物で、法律以前の問題として、とてもじゃありませんが一般家庭で飼うようなシロモノではありません。ごく最近、これらのハイブリッドが人工的に作出され、「所謂いいトコ取り」なペットとして日本に輸入されはじめているのです。
いいトコ取りってのは、ある種、人類共通の夢ではありますけどね。遺伝子組み換え作物だって やれ食物アレルギーだの生態系破壊だのと否定的な意見も多いですし、ペットの例を挙げるならば、犬の従順さとオオカミの精悍さを期待してウルフドッグをつくってみたものの、結局、素人の手に負えるようなペットにはなりませんでした。実際の世の中には手放しのいいトコ取りなんて 存在しない のです。
隣で寝ているダンナの容姿が絶対に福山雅治ではないのと同様、人は数え切れないほど沢山の妥協点の上をつたい歩きしながら地味で小さな幸せを築いていくものなのです。夢みたいな いいとこどりを求めるのは、むしろ事故や不幸のもとと考えるべきです。
で! この 飼えなくなっちゃった大蛇。
もう、存在自体は、危険動物ですよ。不運な条件がそろえば人を殺せるスペックを持っています。
しかし、日本の法律では、ハイブリッドは特定危険動物に入らない という扱いになっているので、担当の役人は「種類が違うから登録しなくていい」という対応をせざるを得ないわけです。
ペット屋さんの営業妨害をするつもりはありませんが、どうやらこのハイブリッド・スネークという生物は、予想外の体質をもつ生き物の様で、個体によってはビルマニシキヘビよりも早いスピードで、ビルマニシキヘビよりも大きくなる可能性があるようなのです。売る方も飼う方も、これはもはや「いいトコ取りの新しいペット」ではなく、育ててみないとどうなるかわからない「地雷ペット」であると認識すべきなのです。
また、環境省も、これまでは想定外であった大蛇のハイブリッドが、そろそろ社会問題化してくるぞと知っておくべきで、現場の役人が対応に困らないように、ハイブリッドに関しても議論しておかなければなりません。(実際に、前回の会議のときにも少しだけ話題となり、イヌワシとハリスホークの雑種やウルフドッグについて、今後の課題とされたのですが、まさかこんなに急にヘビの案件が浮上するとは思いませんでした)
今回のマイクロチップ挿入の目的は、この個体を「ほぼビルマニシキヘビ」として無理やり登録することによって、ハイブリッド大蛇というものが日本に存在している事実を 官 に認識してもらい、ゆくゆくはきちんと警鐘を鳴らすための布石とする。という飼い主さんの希望に応えるために行われたのでした。
すべての爬虫類愛好家がこんな意識の高い飼い主さんばかりなら、環境省も困らないんでしょうけどね。
以上。三鷹吉祥寺のペットドクターいのかしら公園動物病院の石橋でした。
昨日の写真の個体。もとを正せば飼育放棄個体であります。「大きくならないから大丈夫!法律にも触れないし」という売り口上に乗せられて購入したところ、あれよあれよという間にこのサイズに育ってしまい、「怖いし 場所ないし、えさ代かかるし」で もう飼えない!ってことになった人がおられまして、今回登場した飼い主さんが引き取ることになったのだそうです。実はこのヘビ、ペットとして大ブレーク中の小さなニシキヘビ、ボールパイソンと、正真正銘の大蛇であるビルマニシキヘビのハイブリッド(雑種)です。
売り口上では、ボールパイソンくらいの大きさで、ビルマニシキヘビの奇麗な模様が出て、ちょっとだけ迫力もある・・・・ということなんだそうで、売ったほうもそういう生き物であると信じて売ったようです。
ボールパイソンというのは、検索していただけるとわかりますが、飼育下でせいぜい1m前後のニシキヘビで、だいぶ家畜化されてきたこともあり、おおむね性質も穏和で、生き物の飼育に熟達した人ならば一般家庭でも飼育可能な種類です。一方、ビルマニシキヘビは先に紹介したように特定危険動物に指定された世界4大大蛇の一角を占める巨大生物で、法律以前の問題として、とてもじゃありませんが一般家庭で飼うようなシロモノではありません。ごく最近、これらのハイブリッドが人工的に作出され、「所謂いいトコ取り」なペットとして日本に輸入されはじめているのです。
いいトコ取りってのは、ある種、人類共通の夢ではありますけどね。遺伝子組み換え作物だって やれ食物アレルギーだの生態系破壊だのと否定的な意見も多いですし、ペットの例を挙げるならば、犬の従順さとオオカミの精悍さを期待してウルフドッグをつくってみたものの、結局、素人の手に負えるようなペットにはなりませんでした。実際の世の中には手放しのいいトコ取りなんて 存在しない のです。
隣で寝ているダンナの容姿が絶対に福山雅治ではないのと同様、人は数え切れないほど沢山の妥協点の上をつたい歩きしながら地味で小さな幸せを築いていくものなのです。夢みたいな いいとこどりを求めるのは、むしろ事故や不幸のもとと考えるべきです。
で! この 飼えなくなっちゃった大蛇。
もう、存在自体は、危険動物ですよ。不運な条件がそろえば人を殺せるスペックを持っています。
しかし、日本の法律では、ハイブリッドは特定危険動物に入らない という扱いになっているので、担当の役人は「種類が違うから登録しなくていい」という対応をせざるを得ないわけです。
ペット屋さんの営業妨害をするつもりはありませんが、どうやらこのハイブリッド・スネークという生物は、予想外の体質をもつ生き物の様で、個体によってはビルマニシキヘビよりも早いスピードで、ビルマニシキヘビよりも大きくなる可能性があるようなのです。売る方も飼う方も、これはもはや「いいトコ取りの新しいペット」ではなく、育ててみないとどうなるかわからない「地雷ペット」であると認識すべきなのです。
また、環境省も、これまでは想定外であった大蛇のハイブリッドが、そろそろ社会問題化してくるぞと知っておくべきで、現場の役人が対応に困らないように、ハイブリッドに関しても議論しておかなければなりません。(実際に、前回の会議のときにも少しだけ話題となり、イヌワシとハリスホークの雑種やウルフドッグについて、今後の課題とされたのですが、まさかこんなに急にヘビの案件が浮上するとは思いませんでした)
今回のマイクロチップ挿入の目的は、この個体を「ほぼビルマニシキヘビ」として無理やり登録することによって、ハイブリッド大蛇というものが日本に存在している事実を 官 に認識してもらい、ゆくゆくはきちんと警鐘を鳴らすための布石とする。という飼い主さんの希望に応えるために行われたのでした。
すべての爬虫類愛好家がこんな意識の高い飼い主さんばかりなら、環境省も困らないんでしょうけどね。
以上。三鷹吉祥寺のペットドクターいのかしら公園動物病院の石橋でした。