2017.03.15

●金魚★すくい●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

 縁日が多い地域に住んでいるせいで、娘が年に何回も金魚をすくってきやがります。縁日といったら金魚すくいしか頭にないらしく、毎回、満面の笑みで金魚を連れて帰ってきやがります。

 娘が金魚すくいを楽しむと 私はそのあと金魚救いに追われます。

 持ち帰った金魚がバタバタ死なないように。前からいる金魚(これをキャリーオーバー君たちと呼んでいます)に病気がうつらないように、治療をしないといけないのです。

 金魚すくい当日の数日前から、塩水浴水槽とメチレンブルーを準備しておき、すくってきた金魚をいれてしばらくそこで飼育します。

 検疫や治療がおわると、生存者を飼育水槽に移します。

 飼育水槽には、エーハイムの外部フィルターと底面フィルターが装備され、水質管理もばっちり。ヒーターとサーモで温度も管理されています。

 それでも、縁日の金魚ってやつは死ぬときゃ死ぬので、庭木の成長に一役買いつつ、庭は金魚の地縛霊でいっぱいです。

 まったく、縁日が来るたんびに我が家は金魚ウォーズですよ。誰に似たんだか、親の顔がみたいですね。

 はいっ! どーぞ!
 ってなわけで、私も子供の頃、縁日に行くと、必ず金魚すくいをしました。それはもうバカほどすくってくるので、親に嫌がられてました。

 過去最高に楽しかった金魚すくいは、客寄せのためにウナギのつかみどりとセットになっている画期的なものでした。

 「このでかいウナギを捕獲することは、子供には無理だろう」というテキ屋さんの目論見に反して、プラ船に入っているウナギを根こそぎ全部さらって、金魚すくい業界の新しいビジネスモデルを崩壊させ、意気揚々と家に帰りました。

 当然、私はこの6匹のウナギを飼育するつもりだったわけですが、運の悪いことにちょうどウチの家族の頭数と合致してしまったために、何を勘違いされたのか、当時、家の全ての実権を握っていた祖母の鶴の一声で、食卓行きという判決が下されてしまいました。

 うそでしょ?? どうやってウナギを飼おうかワクワクしていた私にとっては、悲劇以外の何物でもありません。

 生で食えるもんなら食ってみやがれという私の一縷の望みも、神がかり的に器用な父親のせいで見事に打ち砕かれました。

 百科事典片手に、余計な仕事を増やした息子に対する呪いの言葉をつぶやきつつ、「はじめての蒲焼」を難なくクリアしやがりましてね。文句なら、すくってきた俺じゃなくて、食うと決めたばーさんに言ってくれと。大切なペットを食われるハメになった被害者は俺だぞと。怒りに燃えながら食べたウナギの味は・・・ 悪くなかったです。そういや、ペットを食わされるのって これで2度目じゃねーか!チクショ~(涙)。

 終戦直後の食糧難を経験した人ってのは、飢餓に対するトラウマがあるもんだから、食材という肩書をもったペットを前にして、食べる以外の選択肢は存在しなかったみたいです。困った人です。

 そういえば、祖母の庭には、食べられる植物が沢山植えられていて、毎年、梅の木から山ほどウメを収穫しては、大量に梅干しを漬けてましたね。

 縁側にずらりと並んだザルに干された梅を眺めては、「これで何があっても大丈夫だ」とひとりごつ祖母を見るたび、幼心に「人類滅亡の日がやってくる。しかも梅干ししか食べるものがない」という恐怖を感じたものでした。

 いまでも大きなザルを見るたびに口の中がすっぱくなるのは、一種のトラウマなんだと思います。

 毎年、食べきれない量の梅干しを漬けやがるので、生家には、梅干しのキャリーオーバー君が累積し、昭和初期のロットなんかは、周りに塩が結晶した乾燥梅干しになってましたっけ。

 あの梅干したちは 最後どうなったんだろう・・。。(梅干しの向こう側 を実際に見てみたい人は、井の頭通り沿いにある「ありてい」という梅干し専門店を覗いてみてください。化石のような梅干しが展示してあります)

 写真は、待合室の水槽で病気が発生してしまったために、治療をしているの図。0.5%の塩分濃度に調節するにしても、水が250リットル近くあるので、投入する塩の量も1kgを超えます。まるで小魚の佃煮をつくってます的な画となりました。巨大水槽のリセットは、ちょっとした肉体労働となります。4月までに終わるのだろうか・・。

 以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。