2018.03.16

●目覚める●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

 春眠不覚暁 処処聞啼鳥 夜来風雨声 花落知多少

 by孟浩然

気持ちよい麗らかな春の気候のせいで、ついつい朝寝坊。ってな意味で、この時期そこかしこで引用される漢詩です。

 でも・・解釈には諸説あり!だそう。

 中でも、真逆の意味もあるんだとか。

 夕べの雨の音がうるさくて、庭の花が散っちゃわないか心配してたら朝が来るまで眠れなかったぜ。

 明け方は明け方で、やっとウトウトしかけたのに鳥が鳴いてうるせーから結局徹夜になっちまったじゃねぇか、鳥のバカヤロー!

 っていう、なんかイライラモード全開の状況を詠っているのだとか。

 私の場合は、後者ですね。

 気がかりな症例とか日常のストレスで、頭だけ冴えてしまってそもそも眠れないのはしょうがないとして、どこかから聞こえてくる「けっこう特殊な騒音」に眠りを妨げられております。

 まずは、ほぼ24時間つけっぱなしのテレビの音。しかも大音量。

 さらにそのテレビの音とは別に、深夜早朝、かまわず響き渡る「謎の大音響」にもびっくりさせられております。 最初、なんの音かなぁと不思議でたまりませんでした。

 例えていうならアライグマの赤ん坊が北斗神拳を伝承された感じ。 

 巻き舌で、オロロロロロロロロロロロロロッ!オロロロロロロロロロロロロロッ!オロロロロロロロロロロロロロッ!

 時々、クワッ! クワッ ペッ! ウゲ! って音が入ります。

 これが、早朝4時とか、深夜2時とかに、突然かつ不意に響き渡るんですよ。

 オロロロロロロロロロロ! クワッ! 
 オロロロロロロロロロロ! クワッ! ペッ!
 オロオオオオオオオオオ! うげ!

 いまでは、その音の正体もわかり、だいぶ慣れましたけど、最初のうちは なんだなんだと大騒ぎでした。
 
 とどめは、鳥の声。

 ある朝、私の大好きな、サンコウチョウっていう野鳥の声が聞こえたんです。ちょうど渡り鳥が移動するシーズンだったので、隣の林に偶然立ち寄って、羽を休めたサンコウチョウが、囀っているという奇跡がおきてもおかしくありません。

 反射的に飛び起きて、双眼鏡をひっつかみ、大声で娘をおこし、ヴェランダに飛び出る算段をした刹那。鳥の正体が判明!!

 なんだよ。 目覚まし時計かよ・・・。

 あわてすぎて あっちこっち足をぶつけちまったよ。

 この日以来、娘の目覚まし時計が 朝5時になると、サンコウチョウの声を流すせいで、毎朝反射的に起きてしまうハメになっております。

 冬にサンコウチョウはありえないけど、夢うつつで鳴き声を聴くと目が覚めてしまう。双眼鏡を探してしまう。

 ホントはあと1時間眠らせてほしい・・・朝方にようやく寝つけるパターンだから。

 写真は、命がけの眠りから目覚め、ガサゴソと出てきた我が家のリクガメ。目があったら、「テヘ!」ってな顔をして首をひっこめました。今年は啓蟄をまたずに沢山の生き物が活動を開始してます。春がちょっと早い感じがしますね。

 花壇のビオラもアブラムシ対策をしないとやばいです。 

 株の衰弱を防ぐために、最後の切り戻しをしますから、このあと丸坊主にしちゃいます。花の見ごろはあとちょっと。パステル調の可愛い猫ちゃん模様のスクラブスーツを着て、一面のお花に囲まれて花壇の手入れをしている、眉間にシワをよせたオッサンという、大変インスタ映えする風景が鑑賞できるのは今だけです。お早目に!


  以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。
2018.03.15

●重なる日●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

 先日、めずらしい出来事が重なりました。

 最初は、アマガエルが冬眠に失敗してしまいました!というご相談。 

 モリアオガエルを大量に育てて冬眠をわんさかさせてきた経験から、いろいろお話をさせていただきましたが、伺った病状からだと、お役にはたてそうになくて残念でした。

 つづいての問い合わせは、「ジャガーを輸入するにあたり、困ったことがありまして・・・」というご相談。

 イギリスの高級車じゃなくて、ネコ科猛獣のジャガーです。

 こっちは、いくつかアドバイスをさせていただいたところ、無事に輸入できることになったそうです。お力になれてなりより。無事に繁殖計画が軌道にのるといいですね。

 その後。例によってサツの旦那方からのお問合せ。

 つるっぱげの謎の生き物が公園に捨てられていた。虐待事件か? というご相談。

 写真をみる限りでは、疥癬で被毛がぜんぶ抜けて、寒さで行き倒れたハクビシン。捨てられてたわけじゃなさそうだから、虐待事件ではなさそうですよ。ということで一件落着。

 たしかに つるっつるの遺体だと、痩せた犬だか猫だかわかりにくかったと思います。

 珍しい問い合わせが続くなぁと思っていたら、最後は、写真のラブラドール・レトリバー。

 なんと苗場スキー場からの急患。

 どんだけ車を飛ばしてこられたのやら、わずか2時間でのご到着。恐ろしや。

 緊急手術で、そのあと無事に元気になりました。

 この出来事のどこが珍しいかというと、単に遠方からいらしたという点ではありません。 

 そもそも私は、遠くの患者さんからの問い合わせには、極力親切に対応するものの、最終的には近所の動物病院に行けるように手配をします。

 今回は、たまたま近所の獣医さんの都合が悪くて、手術ができる日が先で、おそらくそれまで命がもたないだろうという判断で対応させていただきました。

 で・・・何がそんなに珍しいかというと。

 この飼い主さん。全く同じ内容の出来事を過去に2頭、うちの病院で経験していらっしゃって、今回で3頭目なんです。

 特別に飼い方が悪いからみんな同じ病気になったとか、そういうことではありませんので念のため。あくまでも不思議な偶然なんです。

 なにしろ3度目も無事に解決できたよかったです。

 写真は、最後の抜糸がおわって、無罪放免になった、3代目急患ラブラドールのネーヴェちゃん。

 お父さんにいただいた「すごいコシヒカリ」を精米して炊くのが楽しみです。

 
  以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。
2018.03.01

●開店●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

 ドア・ノブを付け替えてもらって、快適に診察しております。

 本日、J・マートの跡地に、ホームセンター・コーナンがオープンしました。

 さっそく行ってみると、えらい混雑でした。J・マートがなくなって困っていた近隣の方々がどっと押し寄せたって感じです。

 覗いてみての感想は・・・・J・マートよりもゴチャゴチャしている感じ。例えるならば、ドンキホーテの手狭感とでもいいましょうか。

 J・マートは子供をつれていくと、ちょっと一息いれながら楽しく過ごせる。っていう風情でしたが、コーナンは、ひたすら買い物してちゃっちゃと帰るって印象。

 私の主たる利用ポイントである、園芸用品・ペット用品・DIYをざっと見たところ、DIVはまぁなんとかいけそうで好感触。

 ホームピックの足りなさ感にイラっときてましたが、DYI親爺としては、これで大丈夫かな。

 ペット用品は、面積が増えた感じがしますが、内容に関しては、これから吟味してかないと・・って感じですかね。なにしろごちゃごちゃで全部見る気力がうせました。

 園芸用品は、あきらかにJ・マートのほうがよかったですね。なんというか、近所で埋め立て工事でもあるんですか?っつーくらいに、同じ種類の用土ばっかり大量につみあげてあって、選択肢がほとんどない。

 たとえば赤玉土なんかは、自然乾燥のもの以外に、焼成した硬質のものも並べておくべきなのに、全くない。

 牛糞堆肥だけが累々と積み重ねられている様は、「いったい誰がこんなに肥料ばっか買うんだよ」と突っ込みを入れたくなります。

 なんかマヌケな感じでした。

 次回に偵察にいくときは、木材カットコーナーの実力を確認してきたいと思います。私としてはかなり重要なポイントなので。

 写真は、原因不明で画像が横倒しのホームセンターコーナンの様子。
 
  以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。
2018.02.15

●フードファイターズ●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

 ちょっと前の話になりますが、 節分の日に、いつも一本堂のパンを買ってきてくださるママ友から、すごく立派な太巻きをいただきました。

 セブンイレブンで売ってるのとは別格の、それはそれは大きくて、本格的な、太巻き屋さんの太巻きです。しかも、そのうちの1本は韓国風の味付けなんですって!!

 新薬から流行語に至るまで、新しいものには殆ど手を出さない私は、「恵方巻」というイベントには、生涯縁がないものと思っていたのですが、今年は娘にせがまれて、ついつい前日にGOサインを出したばかりでした。

 すでにセブンイレブンに向かっているかもしれない娘にあわてて電話をかけ、「患者さんから すごい立派な太巻きもらったから、買いに行くのストップ!!」

 幸い、家を出ようとしていたところだったらしく、ギリギリセーフで「太巻きひとりあたり2本」という事態は回避できました。

 さて、その晩。

 念のために、ネットで恵方巻のルールを調べてみました。

 そしたらまぁ、出てくる出てくる。鬼のように厳しいレギュレーションの数々が!!

 指定の方向を向いて、お茶を片手に談笑しながら楽しく食べるってんじゃなかったのね・・・。

 一、口にしたら最後、食べ終わるまで太巻きを口から離してはいけない。一気に食べ終えないとダメ。

 一、絶えず、太巻きが口を覆っている状態でなければいけない。スキマが開くと、そこから運気が逃げる。

 一、太巻きを噛み切ってはいけない(ちょっと何言ってるかわからない)

 一、食べ終わるまで、一切しゃべってはいけない。

 一、願い事は自分だけの秘密にして人に教えてはいけない。

 ぜんぜん楽しそうじゃ無いぢゃんか!!

 はじめる前からゲンナリしてしまいましたけど、なんとか気をとりなおして、自宅の測量図とコンパスをたよりに、正確な方位を割り出し、いざスタート。

 しかぁし!!

 太巻きがデカイ!!!

 セブンイレブンで売ってる奴は、体積にしてこの半分以下。

 いただいた太巻きは、太さも長さもケタ違いに立派。

 口いっぱいに頬張った状態をキープしながら、呼吸を維持し、噛み切らず(ちょっとどうしていいかわからない。これって咀嚼するなってこと?)、しゃべらず、もくもくと最後まで食べきる。

 ものすごく飲みにくい飲み物に挑戦してる感じ?

 もうね。半分くらいでつらくなってきましたよ。

 立派で上等な太巻きなんだけど、途中で飽きてくるんですよね。

 だって、どえらい特殊な食べ方のせいで、せっかくの上等な太巻きを、ぜんぜん味わえないんだもの。

 まぁね。お父さんは大の男なんでなんとか食べきりましたけどね。

 問題はとなりで静かになっちゃってる娘ですよ。

 私が、食べおわっちゃった感を出すと、娘はきっと焦ると思ったので、私はそのままの姿勢で、手を口にあてたままの恰好で、じっとして、となりの様子をうかがいます。

 横目で見ると、娘はまだ半分にも到達していません。

 モキュッ モキュッ ゴクッ 
 モキュッ モキュッ ゴクッ

 口の中にとりこんでは飲むの繰り返し。

 娘は私に比べたら口がちっちゃい上に、もともと食べるのが遅いし、飲み物がないと食べすすめられないタチなので、まぁ 太巻きが減っていかない。

 モキュッ モキュッっていう音が、途中でフッと止まったかと思うと、「ふげ」  とか  「ウゴ」 っていう音が合間にはいります。

 おそらく嘔吐反射と闘っているに違いありません。

 がんばれ!がんばれ! と手に汗を握りながら、心の中で娘を応援する時間の長いことったらありゃしない。

 最後の一口がねじこまれてから、それが喉を通るまでの時間が永遠にも思えました。

 息してんのか? と心配になるほどの長い静寂ののち、ゴキュっ という音とともに、娘の肩から力が抜ける様子が感じられたので、私もスタート以来はじめて姿勢をくずして彼女に向き合いました。

 目にうっすら涙をためながら、大きく息をする娘をハグし、ハイタッチでお互いの健闘をたたえ合い、無事、「恵方巻の儀」を終えたのでありました。

 もうね。何を願ったのか忘れましたが、楽して叶う願い事なんて無いんだってことを思い知らされましたよ。

 あと、上等な太巻きはちゃんと味わって食べないともったいないなって思いました。 

 写真は「診察室のドア・ノブがああああ!」の図。


  以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。
2018.02.01

●ほぼ惰性で・・●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

 月がかわってしまい、記事を書くモチベーションの維持が困難な中、ウルセランス菌感染のおはなしのつづきです。

 厚生労働省のHPでは、獣医さんむけに、検査と治療について書かれています。

 いわく「猫がクシャミ・鼻水・鼻づまりになっていたら、菌の培養検査をして、コリネバクテリウム属の菌かどうか確かめましょう。もしもコリネバクテリウムだったら指定の検査センターに出して、ウルセランス菌かどうかDNA鑑定をして、アタリだったら抗生剤で除菌を試みましょう。そのあと、ちゃんと除菌できたかどうか、再検査しましょう」ってな感じのことが、書いてあります。

 これだけ見ると、なんか、言う通りにしないと怖い気分になってきますよね。

 けれども、猫のクシャミ・鼻水・鼻づまりなんて、べらぼうに件数が多いんだから、こんな「お勧め」が広まったら、不必要な社会不安が煽られてしまうんじゃねーの?

 って・・・。私は一瞬心配したわけですよ。

 ただ、大雪・噴火・大砂嵐による事故 といった天変地異の方が重大案件だったおかげで、ウルセランス菌の話題に火がつくことはなく、安堵しております。同時に記事を書くモチベーションも消えちゃいましたけどね。

 結論から言って、菌の培養ってお金もかかりますし、培養結果にエラーも多いので、今現在大して流行ってなさそうな病原菌をつきとめるべく飼い主さんに出費を強いる意義はないと 私は判断しています。

 このあとウルセランス菌感染症の人が続々と見つかって、飼育動物からの感染リスクとしっかり向き合わないとイカンという情勢になったら、そのとき考えましょう。

 下手に除菌だ!なんつって抗生物質を乱用して、あらゆる常在菌(そこらにいる無害な菌)を抗生物質が効かない恐ろしい耐性菌にしてしまうのは、反社会的な行為とすら言えます。

 胃癌リスクを高めるピロリ菌についても、一度除菌をしたら、再感染はない。って言われていたのに、最近では、耐性菌の発生や、再感染はやっぱりあるじゃん的な報告がされています。

 相手は微生物ですからね。再感染はねぇ!なんてことは断定できませんよね。

 ましてやネコですよ。しかも集団飼育の猫だったりした日にゃ、除菌なんて無理!!絶対。

 猫をクリーンにしようと奮闘するよりか、ご自身の日常の健康管理と体力維持に心がけるほうがよっぽどいいです。

 もろもろ無理しない。栄養バランスと消化のいい食事を少なめに摂る。大酒のまない。夜おそくまでフィギュアを創ったりアニメばっかみてないで早く寝る。そして質のよい睡眠をとる。体を冷やさない。運動をする。猛獣を診察するのに無理して無麻酔でやろうとしない。危険なお薬をたしなまない。 
 
 ご自身が健康でいることが動物由来感染症を防ぐ最良の対策であると思ってご自愛ください。

 思ったより盛り上がらなかったけど、ウルセランス菌のお話はこれで終了!

 写真は、皆既月食のいちばんいい感じのときの様子。

 実は、私も娘と月見をしたんですけどね。9時半ごろに、「お~!欠けとる 欠けとる!! 月食観測、終了ぉおおおおお~!!」とか言って、二人でこぶしを振り上げながら、早々にひきあげちゃったんですね。

 でも・・。 みるべきは まるっと月食になった赤い月だったとは・・・。

 ちょこっと欠けた状態の月。 ぜんぜん赤くなかったです。綺麗でも感動的でもなかったし。

 なので写真はマダム・ジャカランダからの提供です。

 次回は7月ですって。今度は寒さじゃなくて蚊との闘いに耐えなくては。

 
  以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。
2018.01.19

●アリにたべられるのは嫌だ●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

 ウルセランス菌感染のおはなしのつづきでございます。

 前回、厚生労働省のHPから正しい情報を得てくださいとお伝えした舌の根も乾かないうちに、今日から、厚生労働省のHPに突っ込みをいれていきたいと思います。

 まずは、病原性の強さに関する疑問のつづきから。

 前回は、そんなに患者の数が多くないし、亡くなった方も多くないよね?って話でしたが、今回は、じゃぁなんで、その人たちは患かっちゃったんだろうって話です。

 猫からウルセランス菌をもらった方々の一覧表が厚生労働省のHPで紹介されていますが、この表には、この方たちの免疫機能が正常だったのか、何等かの疾患や消耗(過労とか)によって免疫機能が落ちていたのかどうか、読み取ることができません。

 以前、環境省の旦那方に呼ばれて、アメリカドクトカゲとメキシコドクトカゲにマイクロチップを挿入するための講習会の講師をしたことがあります。話が横道で遭難しそうなくらい飛んじゃって申し訳ないですけど。

 これらのドクトカゲがなんで特定危険動物に指定されたかというと、人の死亡例があるからなのですが、じゃぁそんなに毒が強くて恐ろしい生き物なのかっていうと、どうやらそうでもないらしいということは、愛好家の間では常識的な話なんです。

 ドクトカゲにやられて亡くなったのは、お酒に飲まれていたり、ある種のお薬をたしなんでおられ、「お家はないけど、幸いお外もあたたかい地域だから路上で寝ちゃっおう!」っていう方々だったとのこと。

 ワイルドな彼らの寝所に、運悪くドクトカゲが通りかかって、何等かの理由で咬まれてしまったのだそうです。

 健康状態がボロボロの方が咬まれちゃったせいで、ちょっとした追い打ちがかかって亡くなったというのが真相です。

 きっと寝ている間にコヨーテに食べられたり、ガラガラヘビに咬まれたりする人もいらっしゃる地域なんだと思います。似たような地域社会を舞台にした、黒い絨毯っていう映画では、お酒で酩酊している間にグンタイアリに食べられてしまう見張り番のおじさんが出てました。私が映画でみた一番古い死亡フラグの記憶です。

 話は、猫からうつるウルセランス菌にもどります。

 つまり何が言いたいかというと、

 病原性の強い微生物が頑強な肉体を打ち破って発症するのと、弱り切った人がちょっとした感染症にも抵抗できずに症状をこじらせるのとでは、大きな違いがあるってことです。

 長くなっちゃったので またもや つづく。

 次回は、HPの中で厚生労働省がおすすめしている、検査と治療について、本当に必要なのか? すべきなのか?という考察をしていきたいと思います。

 
  以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。
2018.01.17

●もってのほか!って言われてもね●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

 年が替わってから お初のブログ更新でございます。

 先日、郵便局で支払をしていたら、窓口の方に、「ニュースでやってた猫からうつる病気は、どのように気をつけたらいいんでしょうか」と質問されました。

 郵便局とえいば、いつもお年寄り相手に忍耐強く、懇切丁寧に説明をしていらっしゃる、「国鉄時代のキオスクとは対極の姿勢の方たち」ですからね。(あるいは 焼き鳥の注文を取るときの い〇やの店員さんとか。あの店で注文するとき、この人怒ってるのかな?って思うときありません?)

 忍耐と真心の人から質問されたからには、こちらも誠意をもってお答えせねばと、郵便局を舞台に一席ぶってまいりました。

 他にお客さんがいなかったからよかったけど、傍からみたら、何じゃ?この、猫について熱く語るくたびれた迷彩ズボンのおっさんは・・・って、謎の光景だったに違いありません。

 まぁ、要するにあんまり気にしなくてもいいんじゃね?ってな話をしてきたのですが、補足情報も含めて、ここでもちょっと触れておきますね。

 ニュースで取り上げられていたのは、ウルセランス菌という細菌を保菌している犬や猫から感染する、人獣共通感染症で、細菌感染なので、なんとなれば抗生剤が効くってのが先ず安心材料となります。

 正しくない情報は、不安と混乱のもととなりますので、いろいろ知りたい方は、厚生労働省のHPにあるコリバクテリウム・ウルセランス菌の紹介ページを一読ください。

 一般人のブログやホームページや「ヤホーニュース」ごときを読みかじって右往左往すべきではありません。

 で、今日のブログ記事では、この厚生労働省のHPの記載にも突っ込みをいれつつ、飼い主の皆様に若干の情報提供をさせていただきたいと思います。

 まず、この病気の脅威度について。

 話題として、「新しい」 ので、漠然と怖いですが、本当に怖いのかどうかは、なんともいえません。

 2001年から2017年の16年間で、わが国で確定診断に至った人の症例数が19例で、うち死亡が1例であること(しかも、1例は動物との因果関係が記載されていません)や、近年になって急速に増加傾向があるって話でもないことから、「そんなに怖くない病気」と考えていいんじゃないかと思います。

 「イヌやネコにペロペロされるのはもってのほか」って朝のテレビでやってましたけど、そこまで恐れるものなのかな?と思います。

 イヌやネコにペロペロされるのって、一緒に住んでたら避け難いことなのに、もってのほかとまで言われたら、途方に暮れますよね?

 そりゃ、運が悪けりゃペロペロのあとに、なんらかの感染症をもらうこともあるでしょうけど、実際問題として、めちゃくちゃ機会が多いわりには、皆さんだって病気をもらったことないでしょ?

 確率から言えば、イヌやネコにペロペロされることよりも元日にモチを食べる行為のほうがよっぽど危険だと思います。

 今年の元日のたった一日で、モチを喉につまらせて救急搬送された方は東京だけで15人もいらっしゃって、そのうち2人が亡くなっていらっしゃるそうです。 

 たった一日・・ってかほぼ朝だけ。しかも東京都限定なのに、全国16年間のペロペロを軽く凌駕してますからね。

 怖いのは元日のモチだけじゃありません。

 ながらスマホが原因の交通事故は、2016年のたった1年間だけで1999件も発生していて、27人も死者が出ているんです。

 死にたくなければペットを恐れるまえに、モチとスマホを切りましょうってことですよ。

 長いので、次回につづきます。
 
  以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。
2017.12.29

●本日最終日 皆様 良いお年を!●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

 今年最後の診療日が無事終わりました。年明けは4日から通常診療します。

 昨日は、このまえ感謝状をいただいた警察署とは別の署の旦那方がいらっしゃいました。

 3名様でいらっしゃったんですけどね。診察しながら対応させていただいたものですから、院内でけっこう長い時間お待ちいただくことになり、年末の忙しい時期に申し訳ないことになってしまいました。

 いかにもデカ(刑事)! って感じのガタイのいい旦那方が3名様で椅子におかけになって、腕組みして、無言で待っていらしゃいますとね、まぁ 威圧感のすごいこと。

 別に悪いことしてるわけじゃないのに、思わず何かを自白しちゃいそうな感じ。あれはきっとサツの旦那方の職能のひとつなんだと思います。「悪と闘うオーラ」とでもいいましょうか。

 実際の犯罪者の方だと、多少なりとも後ろめたさがあるでしょうから、そのオーラにやられて、目が泳いじゃったり、汗かいちゃったりして、いろいろ見抜かれたりするんだと思います。

 あとで カナちゃんと二人で「ちょっと怖い景色だったねぇ」って顔を見合わせて笑っちゃいました。

 旦那方におかれましては、御用納め前日の寒い中、遠路、お疲れ様でした。良いお年を!来年もまた東京の治安維持をよろしくお願いします。

 写真は、今回とは別の事件の被害者の写真。

 上腕骨の骨折部位に、大量の血液が存在し、骨の中の空洞にまで血液の侵入がみられます。

 血圧がある状態でないと骨の中まで血液は入っていかないそうですから、被害者は、骨折したのちに、死亡し、塩とスパイスを効かされ、油であげられた可能性が示唆されました。

 実行犯は不明ですが、事件の黒幕は、白いヒゲをはやした姿勢のいいアメリカ人と思われます。

 では、皆様、良いお年を!
 
  以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。
2017.12.24

●クリスマス♪●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

 シャンシャンの話。割と反響がありました。

 獣医仲間からは、母パンダが食べてるものの成分が影響している可能性もあるね。って真面目な話題提供もいただきました。

 つまり、お母さんが食べカスだらけの口で舐めたからシャンシャンの被毛にも食べカスやら汁やらがついて、その成分が酸化やらなんやらして、被毛が変色した。という説。

 ありそうです。

 一方、「私もガリガリガリクソンが大好きなのぉ~っ」て言ってくれる人は皆無だったのは残念です。 なんなら オッス!おらニート!って言いながら診察室に入ってくる飼い主さんがいてくれてもよかったんですけどね。

 さて。 クリスマスだってのに、またぞろ恐ろしいニュースが飛び込んできました。

 ニューヨークで、鳥インフルエンザウイルスが猫に感染して、猫から猫にひろがって、それを治療した獣医にも感染するという事件がおきたらしいです。知らんけど。

 そのウィルスはまだ、人から人への感染能力を獲得していないようですし、猫と獣医さんの両方とも症状が軽く、タミフルとかリレンザで十分おさえることができたそうなのでよかったです。

 その後、猫の間でどんどん感染がひろがっているのかは不明です。

 猫から猫に感染を繰り返すうちに、強毒性と、人から人への感染能力(つまり人型ウィルスへの変異)が獲得されると恐ろしいことになります。

 ちまたのネット情報では、ワクチンをうちましょうって締めくくっている記事を散見しますが、猫に接種するインフルエンザのワクチンはありませんので あしからず。

 さらに言うなら、ウィキペディアで紹介されているネコインフルエンザという俗称は、インフルエンザウイルスとはほぼ無関係なので無視してください。

 人に接種するインフルエンザワクチンは、今年流行するであろうインフルエンザウイルスの株を、事前にいくつか予測してワクチンをつくっているので、今回ニューヨークで発生した変異ウイルスに対して、予防効果があるのか否かは わかりません。 

 猫をたくさんあつかっている人が不安に思って、自分自身にワクチンを打っておこうって思っても、効くかどうかは保証の限りではないとお医者様に言われると思います。

 ただ、人の間で流行するタイプのインフルエンザに罹患して、体内にウイルスがわんさか増えている状態で、あらたに猫からインフルエンザウイルスをもらった場合に、人体内で2種類のインフルエンザウイルスがコンニチワをして、新たな変異を生む可能性がわずかながら発生しますので、インフルにかからないに越したことはありません。

 あと、自宅で豚とフェレットとニワトリを複数飼育しているムツゴロ〇王国のような方がたまにいらっしゃいますが、ご自身がインフルエンザに罹らないようにご注意を。

 自宅に持ち込んだ人型ウイルスがペットたちに感染して、あらたな変異ウィルスをつくってしまう可能性が普通のご家庭より高いです。人類の存続のために、ご自愛ください。

 というわけで! 摂生による体力維持、ワクチン接種、うがいと手洗い、空気清浄と加湿、インドの山奥で修行といった予防法以外で、身近にできる予防策をひとつご紹介します。

 ずばり!スーパーにはマイ・バッグ持参で買い物をする。意外な盲点です。

 あるいはゴムの指サック持参でもけっこうです。

 レジ袋をもらって、指がカスカスだと、うまく開かないときがありますよね。

 みなさんは、そのとき、どうします?

 指を舐めます? それ危険です。

 備え付けの濡れた布巾に指をつけます? 実はそれも危険です。眼病の人が神社で狛犬の目をさわって自分の目にあてるのといっしょです。

 「インフルエンザウィルスは湿度が高いと死滅する説」ってのがあるせいで、濡れた布巾なんだから大丈夫だと思う方もいらっしゃると思いますが、濡れたらウィルスが死ぬってのは、ちょっと無理のある話で、だったら鼻水の中でなんでウィルスが活きてるのよってことになりますよね。 なので、布巾が濡れてても殺ウィルス効果は期待しないほうがいいです。

 短い時間に、不特定の人が次々とさわっていく面積の小さい物体という意味で、あの濡れた布巾は危険だと思っていてください。

 もしも、冷たい食品を購入していて、商品の外側が結露していたら、その水分を指につけてからレジ袋を開くという裏技もあります。しかし、冬場は乾燥してますから、なかなか結露してくれないので、夏限定の技です。

 写真は、先日、サツの旦那方からいただいた感謝状です。人生で最も風変りなクリスマスプレゼントとなりました。こういったものをいただくのは初めてなので恐縮です。

  以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。
2017.12.19

●ガリガリガリクソンだってよく見りゃ可愛い●

本日もお立ち寄りありがとうございます。

 シャンシャンの毛がピンクなのは、お母さんが舐めたせいだと動物園から説明をうけたのですが、どういうしくみで毛がピンクになるのでしょうか?

 という問い合わせが日テレから来ました。

 その前は、「ヘラジカの銅像にまとわりついてるヘラジカがネットで話題になってますが、あの子はどういうつもりであんな行動をとっているのか」 という質問でしたが、毎回、動物ネタの問い合わせには頭を悩ませます。

 私の事を変な動物のネタに詳しいと勘違いし信じて問い合わせをしている人を相手に、テキトーなことを言って誤報が独り歩きしてしまったら申し訳ないですからね。

 今回、私は診察中で対応できなかったのですが、電話をとったマユちゃんには、「舐めて、毛が寝て、地肌のピンクがのぞいただけなんじゃね?きっと来園者が皮膚病を心配して騒いだんじゃないのかな。ヘタにパンダなんか生まれると動物園も対応が大変だな・・・パンダ担当は全員胃潰瘍になってんぞ」と、文字通りテキトーな話をしておりました。

 ただ、ちょっと気になったので、暇なときにシャンシャンの画像を出してみたら、あらら。シャンシャン君、たしかに白い毛の部分が赤茶けております。

 地肌のピンクじゃなくて。毛が変色してますね。

 画像に添付されている解説をみると、「あかちゃんパンダが赤く染まるのは、お母さんの愛情の証」とか書いてあります。報道によって、ピンクか赤のばらつきがあります。

 共通して言えることは、綺麗な話にしたい!という強い意志。

 私には 可愛いピンクというより、赤茶けている ようにも見えますが。

 ってか、あれってプードルとかウェスティとかマルチーズとかシュナウザーとか指舐め犬とか飼ってる人だったらピンときますよね・・・。
  
 シャンシャンが赤茶けた色になってるのは、口腔内雑菌うようよの口でお母さんがベロベロに舐めたせいで「よだれ焼け」したからじゃないでしょうか。

 じゃぁ その仕組みはというと、ここからはさらに憶測ですが、口腔内雑菌には色素産生菌というのがおりまして、セラチアとかバクテロイデスといった連中が、本来色素のない毛である「白い毛」のケラチンやヨダレの有機物を培地にして活動し、赤やら黒やらの色素を産生した結果、赤茶けたパンダになるんじゃないかと。

 ついでに、怪しいネット情報まで採用すると、発生したアンモニアがキューティクルを開いて余計に染まりやすくしたんじゃないかと。

 だから きっと シャンシャンはすごく臭いかもしれません。

 なにやっても前向きにとらえてもらえる対象物って得ですよね。
 
 ガリガリガリクソンなんか、誰にも援護してもらえないじゃないですか。佐藤浩市さんも認めた、世界でたった一つのニート漫談が、このまま消えちゃうのかなと思うと残念でなりません。ガリガリガリクソンもパンダも遠目にゃ似たような体形なのに。

 ちなみに、興味深いのは、中国の専門家へのインタビューの内容。

 ・・・・赤くなる個体もいる。っていう表現。

 も・・・って。

 自然界では、ほぼすべての営みが「合目的的」という原則にのっとっています。つまり、なにがしか意味やら意義やら価値がある。

 全部の個体が赤茶けるまで母親にベロベロにされているならば、これは、なにか意味がある可能性があります。

 たとえば、食べちゃいたいくらい可愛い白黒模様の体色をボカすことによって天敵から襲われにくくするとか、体臭がきつくなって、オトナと誤認されて、追跡されにくくなるとか・・・。いや 今、テキトーに思いついただけなんですけどね。

 逆に、ベロベロに舐められない、赤くならない個体も多く存在するならば・・・・ 飼育下繁殖における、母親のストレス行動の可能性もあり・・・。

 きっと 触れちゃいけない話題なんだろうな・・・。

 200%私の憶測だし。

 きっと カバの赤い汗 みたいに、動物界の色の不思議のひとつなんですよね!

 お母さんパンダの唾液は綺麗なピンク色で、イチゴみたいないい匂いがするにちがいありません。きっとそうだと思います。

 写真は、マスター・チヨにいただいた沖縄の胡椒。沖縄に固有のコショウが自生していて、古くから郷土料理のスパイスとして用いられていたなんて知りませんでした。いわゆるコショウといっしょの使い方でいいんでしょうかね。楽しみです。

  以上。三鷹・吉祥寺のペットドクター いのかしら公園動物病院の石橋でした。